りらちゃんとの出会いによって・・・私は中学2年から、ちょっとだけプロっぽい漫画制作をするようになった。
まず、キャラを設定し、あらすじのようなものを組み立てる。
描きたい場面、言わせたいセリフなども考えたりして・・・いわゆる「プロット」のようなものを描くようになった。
そして、今まで鉛筆でノートに描いていた漫画・・・その過程が「ネーム」と呼ばれるものだと知った。
ただ、これまで私が描いていたものは、「一発勝負」で描かれたもので何の構成もされていない。
つまりそれはネームではない。
ネームを完成させるには、その前の段階の「プロット」が大事なのだ!
だから、一度も完成したことがなかったのかぁ・・・と納得した。
りらちゃんも確かに絵は上手いほうだった。
けれど客観的に見て、少女漫画というよりは少年漫画かアニメ画寄りの絵だった。
校内でもう2人くらい女子で絵がうまい人はいたけれど、少女漫画風の絵を描くのは私一人だった。
「この学校にライバルはいない!」と思った。
そして、ここでもみんなから、「うまい、うまい」とちやほやされたため、やっぱりぐいーーーんと鼻高々になっていたw
「なかよし」や「りぼん」を読んでいて、同じくらいの子が入賞しているのを見つけると・・・りらちゃんと二人でよくこんなことを言っていた。
「これやったら、私たちのほうがうまいね!」とw
何を持ってそこまで自信過剰だったのかはわからないが、とにかく投稿さえすれば自分たちは入賞できると思っていた。
年上の人は上手くて当たり前、同年代の子でも上手い子は上手いのだが・・・、入賞出来る出来ないの基準が「絵だけ」ではよくわからなかった。
なかよしで当時13歳くらいの子が何度も入賞していたのだが、その子の絵を見て全くうまいと思ったことがなかった。
それなのになぜ、こんなに何度も入賞するのか、そして編集部の人がなぜこんなにこの子を絶賛しているのかちっともわからなかった。
私は、「この子よりもいい漫画を描いて絶対入賞してやる!」と思っていた。
その子の入賞した時の賞金は8万円とかそのくらいだったと思う。
それを3回・・・?えぇっ?24万円・・・!!!!?
中2の私にはそれをもらったら、「一生遊んで暮らせる!」と思えるくらい・・・、その賞金は魅力的だったw
10回入賞したら80万・・・その上の賞が15万円・・・100万貯めたら、アメリカに旅行に行って大好きなハリウッドスターと出会って・・・わぁ、付き合うことになったらどうしよう・・・(>ワ<)
・・・と、おおよそ漫画家の夢とは程遠いことも考えたりもしていた。
賞金に目がくらんだ私は、早速、りらちゃんと町で唯一の画材店に「原稿用紙とペン」を買いに行った。
インクは高かったので手持ちの「墨汁」を使うことにした。
「この子がこんなに入賞できるなら・・・私だってできるはず!!」
初めて漫画の原稿用紙を手に入れた嬉しさ。
これから投稿するんだというやる気。
絶対、賞を獲ってやる!!
絶対この子を抜いてやる!!!
絶対80万貯めてやる~~~~!!!!
オイオイ、なんか、違うような・・・w
何はともあれ、私は「過大な自信」を持って・・・漫画投稿に向けて大きく前進した。
この時の私はまだ一作も仕上げたことがないくせに、偉そうにほかの人の批判をしていた。
入賞した13歳の子は、私が出来ていないことを何度も何度もやり遂げているというのに。
人よりちょっと絵がうまい・・・「だけ」で「一番肝心なこと」を棚に上げている。
いっぱい絵を描く・・・だけではダメだった。
漫画家になるには、技術だけでなく内面も成長しなければいけないんだよ・・・
完成させたことがない人間が、いっちょまえの口を利く・・・だから進歩しないんだよw
・・・と当時の私に言ってやりたいw
漫画を一作仕上げるということがどれだけの労力を費やすのか・・・私はまだよくわかっていなかった。
この子が入賞できて、自分ができない理由をこれから半年後に知ることになりますw