小さい頃は・・・(*´-`)

物心ついた時から絵を描くことは好きだった。

母が「漫画好き」ということもあって、家の中には常に少女漫画雑誌が何冊か置いてあり、絵を描くことに飽きたらそれに色を塗って遊んだりしていた。

買ったばかりの本に「クレヨン」で塗り絵をして叱られることも多々あった。

母は管理人の仕事をしていて常に家の中にいた。
母はいつもせかせかと仕事や家事をこなしていた。

「自己管理をちゃんとする」

「礼儀正しくふるまう」

「人に迷惑をかけない」

幼少の頃から、この三つは特に厳しく注意され、きちんとできないと鬼の形相でそれはそれはこっぴどく叱られた。

けれど、それさえ出来てれば、勉強をしなくても習い事が上達しなくても・・・ほかのことに関してはあまり怒ることはない。

でも優しいわけでもない・・・不思議な人だった。

そんな母が、忙しい中でちょっと横になって、漫画を読んで昼寝をする。

幼いころの私の中の母のイメージは「家で仕事して、漫画を読んで、昼寝をしている人」という感じだった。

でも厳しくされることが多かったので「怖い存在」でもあった。

絵本を読んでもらったり、手をつないでお出かけしたり、遊んでもらったり・・・そういう記憶はあまりなく、一つ上の姉と遊ぶのが日常だった。

そんな母が・・・たった一度、絵を描いて遊んでいる私のそばに来て、こういう絵を描いてくれた。

2015-05-08-09-32-06_deco

これはつい最近「再現」してもらったものだw

はっきり言って、今見るとさほど上手くないw
けれど小さな私の心にはかなり衝撃的だった。

お母さんすごい!!!とw

これと同じように、もうひとつウエディングドレス姿の女の子も描いてくれた。

目の前で「ささっ」とこの絵を描いて、また仕事に戻っていこうとする母を呼び止め「もっと描いて!」とせがんだ。
けれど母は「忙しいからまた今度」と言って去って行った。

「また今度」・・・はなかった。

でも、これで十分だった。
これだけで、私は「何か」に目覚めた。

ただ「絵を描くことが好き」・・・というだけではなく、私の中に「何かが」芽生えたのを感じた。

人の絵を見て感動する・・・という体験は、思えばこれが初めてだったのかもしれない。

いつも読んでいる雑誌も違って見えた。

・・・どれも絵柄が違う。

いろんな人がいろんな漫画を描いて一つの雑誌を彩っている。
そういう人たちのお仕事が「漫画家」だと・・・教えてくれたのもたぶん母だったと思うが、それはあまり記憶にない。

でも間違いなく言えるのは、「私が漫画家を目指すきっかけを作ってくれたのは、厳しくて怖い母だった」ということ。

お母さんみたいな絵が描きたい。
お母さんみたいにずっと家にいて、漫画を読んで、絵を描いて過ごしたい。

こうして、私の夢は「漫画家」になった。

これからあと、小学校、中学校、高校・・・まで・・・。

私は「漫画家の夢」ともに日々を過ごすことになる。

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