さて、高校生活にもだいぶ慣れてきて、部活(軟式テニス)もそれなりに頑張って、毎日充実した生活を送っていた。
どんなに疲れていても、「帰宅したら漫画を描く」という生活は崩さなかった。
ん~・・・
というか、あまり疲れてなかった気もするw
若いというのは素晴らしいぁ・・・と、年を重ねた今改めて思う。
夜更かししても、「眠けりゃ学校で寝ればいい」くらいにしか思っていなかった。
実際そんなにがっつり寝てたわけではなく、15歳の私には「15分寝るだけ」でも、体力を回復するには十分だった。
授業中は先生の目を盗んで、ちょこちょことネームを進めていた。
とにかく描くのが楽しくて、暇さえあれば描いていたし、ほかのことにはあまり興味がなかった。
仲のいい子にネームを見てもらったり感想を聞いたりして、それをまた練り直す。
学校ではストーリーを考え、家では描くことに没頭する。
勉強よりも家庭科全般に力を入れていたクラスだっったので、ちょっとサボっても授業がわからなくなることはなかった。
家政科最高!(と思いながら生活していた)
これまで、姉には自分の作品を決して見せたことはなかったのだけれど、
今回はちょっと読んでもらうことにした。
姉は読書感想文でよく賞を取ったりしていて・・・、「文章構成能力があるなぁ」と子供ながらに思っていたので、
「読んでおかしいところを指摘してくれ」とお願いした。
読まれることを恥ずかしいとか言ってられない。
その指摘を元に、締め切り間際に2ページ分書き直しをしたりして・・・、その作品は「これが今の私のせいいっぱいだ」と胸を張っていえるところまでやりつくした。
そんなこんなで1作仕上げ、投稿して2ヶ月後結果発表の時が来た。
もうずいぶん昔の話なので、具体的な発刊月は覚えてないのだけど・・・、梅雨時期あとくらいだったと思う。
雨が降っていた。
普段はチャリ通だったが、雨のため帰りはバスだった。
発売日のその日、はやる気持ちを抑えながらバスセンター近くの本屋に駆け込んだ。
通学鞄に一度収めたが、バスに乗って数分・・・結果が気になって、早く確認したくてたまらなくなった。
横に立っている人がいたので、見られるのが恥ずかしくて鞄から出すことはできない。
でも見たい!
雑誌は鞄の中に収めたまま、紐をほどかないまま隙間から漫画スクールのページを探した。
紐が邪魔をして見えない・・・。(当たり前)
でもちょっと待て・・・?
覗いたページの下の方にコメントに、なんだか気になる文章が。
15歳でなんとかかんとか・・・。
描けば描くほどなんとかかんとか・・・。
期待がこみ上げてきた。
人が少なくなり私の周りに誰もいなくなった・・・と同時に、鞄からちゃおを取り出した。
紐をグイグイと無理矢理上に押し上げ、指を挟み入れていたページを開くと・・・。
あった!!!!∑(゜Ο゜)
ちょうど雑誌の真ん中に、
私の絵を確認することができた。
漫画の中のカット。そして編集部と漫画家さんからの批評。
大体ページの3分の1以上はあっただろうか・・・?
その場で飛び上がって叫びたいくらいの衝動。
平然を装おうとしても、顔がにやけて止まらない。
嬉しくて嬉しくて。
そして嬉しさを感じた少し後から、喉の奥がつんと詰まったような感覚。
勉強にしても部活にしても習い事にしても。
これまで努力というものをしたことがなく、しなくとも困らないくらいにこなせていると思い込んでいた。
正直言って、漫画もその延長上でやってきた気がする。
移動漫画スクールに参加した後から、その辺の向き合い方が少し変わってきて・・・
あのときの私は、「確かに」夢に向かってそれを叶えるための行動を起こしていた。
努力が報われる・・・ということを、初めて感じることができた日だったと思う。
バスの中なので泣きはしなかったが・・・
帰宅した父親に声を張り上げながら報告したあの日のことを、昨日のことのように覚えている。
父は現在、訳あって一緒にはいないのだけれど・・・、
数年に一度会ったときに、
「今からでも描いたらいいじゃないか?」と、のんきなことを言ってくれたりするw
「今も絵は描いてるよ」
そう告げると、
「そうか!うまかったもんな!」と嬉しそうに・・・。
お父さん・・・
今振り返ると、そんなに上手くはなかったんだけどねw
でもお父さんが褒めてくれたり応援してくれたこと・・・、今でも忘れてないよ。